Android用ターミナルアプリ「Termux」を
スクリーンリーダー環境で使うためのガイド
先日の記事でご紹介した通り、久しぶりに物理キーボード付のAndroidスマホを購入した管理人のLUCA。
せっかくの物理キーということで、これまでiPhone/iPadでしか使ってこなかった、ターミナルエミュレータアプリをAndroidでも活用してみようと思い立ち、最もアクセシビリティが高いと評判の「Termux」をインストール・設定してみました。
そこで今回は「Termux」の基本情報とともに、視覚障害者ユーザ向けにスクリーンリーダー環境での設定方法・使いやすい設定内容等をご紹介していきたいと思います。
普段からCUI(ターミナル等文字入力のみで操作するインターフェース)に慣れている方向けの内容にはなってしまいますが、Androidユーザの方はぜひ目を通していただけると幸いです。
📱 今回ご紹介しているアプリは基本的に読み上げに対応していますが、利用するコンテンツによってはスクリーンリーダーで利用できないものもありますので、ご了承ください。
※iPhone/iPadユーザの方はこちらの記事をご覧ください。
アプリ情報
本題のガイドに入る前に、まずは今回取り上げるアプリ「Termux」について、アプリの基本情報からご紹介します。
- ○アプリ名
- Termux
- ○ダウンロードリンク
- ・Google Playストアからダウンロード
- ・Githubからダウンロード
- 価格
- 無料(アプリ内課金なし)
- ○デベロッパ
- Fredrik Fornwall
- ○最終更新(記事執筆時)
- 2025/10/5
- ○機能概要
- ・パッケージ管理機能を搭載したターミナルエミュレータアプリ
- ・Linux(Debian系)のコマンドですべての操作を実施可能
- ・ローカル/リモート環境共に対応
- ○特徴・機能
- ・独自のパッケージ管理機能「pkg」によりaptと同様に数多くの追加パッケージをインストール/利用可能
- ・bashとzsh、2種類のシェルに対応
- ・Android内蔵メモリを直接マウントして利用できる他、SSH等によりリモートサーバを操作可能
- ・nnn、nano、vim、emacs、C言語系等基本パッケージを標準搭載
アプリ情報については以上です。
一言でいうとWindowsやMac、Linuxに搭載されているターミナルやCommand ShellのようなCUI環境を利用できるようにするためのもので、以前にご紹介したiOS/iPadOS用のa-ShellやPromptのようにスマホ1台でプログラミングからサーバ管理まで何でも行えるようになっています。
操作方法
それでは本題その1、上記Termuxアプリの基本的な仕組み・使い方についてご説明します。
1. アプリの基本構成
CUI管理アプリケーションであるTermuxの画面構成は非常にシンプルです。画面上半分は現在閲覧中のディレクトリ、システム/サーバからの出力情報などが表示されるテキスト出力エリア、下半分はキーボードエリアとなっています。
詳しくは後述しますがテキスト出力エリアにはこちらからの指示を入力するためのテキストボックスが内包されていて、スクリーンリーダーによっては「編集ボックス」として別フォーカスで読み上げてくれるようになっています。
続いてキーボードエリアはページアップ/ダウン、カーソルキー、ホーム/エンドキーなどの仮想キーが並んだツールバーとソフトウェアキーボードがそのまま表示されている箇所とに分かれています。仮想キーを使えば外部キーボードがなくてもカーソル移動・表示切替等の操作が行えるため、とても便利な仕組みになっているんです。
2. 指示の入力
Termuxではメッセージが出力されている最中でなければいつでも入力を受け付けるようになっています。
次項でご紹介する方法以外、特にTalkBackでは入力文字の読み上げが非常に不安定でフィードバックがないことが多いですが、そのまま入力してEnterキーで送信すれば問題なく指示が送られるようになっています。
1つ注意点として、MacrodroidやButton Mapperなどでカスタマイズしたキー入力、その他定型文入力アプリなどは正しく動作しないことが多いため、一から手で入力していく必要があります。
3. その他の操作
それまでの操作内容を破棄して新しくセッションを開始したい場合に使う「New Session」、及び外部パッケージ・環境による影響を除外できる「New Failsafe Session」は共にホーム画面でTermuxのアイコンを長押しすることで呼び出せるようになっています。
なおこれらの操作を呼び出すとそれまでの編集内容・出力結果は失われてしまいますので、ご注意ください。
スクリーンリーダーユーザ向けの小技
続いては本題その2、スクリーンリーダー環境でTermuxを便利に使うための小技です。これらの手順に沿うだけでかなり使いやすくなるかと思いますよ。
1. 入力内容の読み上げ
前項でも少しだけ触れたように、Androidに標準搭載されているTalkBackはTermuxとの相性があまり良くないようで、入力文字のフィードバックが殆ど読み上げられない状態です。
ただ以前にこちらの記事でご紹介した「Prudence Screen Reader(プルーデンス スクリーンリーダー)」を使えば入力フィールドを個別にフォーカスできる他、入力文字のフィードバックも高確率で読み上げてくれるため、LUCAはTalkBack/Prudenceをワンクリックで切り替えられるマクロを設定し、Termuxを操作するときには後者を利用するようにしているんです。
利用時には、下記の手順に沿って操作してください。
- (1) Google PlayストアからPrudenceをダウンロードし、設定アプリの「ユーザ補助」から有効化する
※詳しい設定方法については上記の記事をご参照ください。 - (2) Termuxを開き、画面上半分のテキスト出力エリアをタップしフォーカスする
- (3) 左にスワイプし、フォーカスを1つ前に移動する
- (4) 「編集ボックス」と読まず「ページアップ」に移動してしまった場合には右スワイプしてフォーカスを1つ進める
- (5) 「編集ボックス」と読み上げたところで文字を入力し始めると正しくフィードバックが読まれる他、上下スワイプでの文字移動も可能となる
ワンクリックでTalkBack/Prudenceを切り替えたい場合にはこちらの記事を参考に設定してください。
2. 出力テキストの整理
もう1つ少々スクリーンリーダーで使いづらいところとして、テキスト出力エリアの内容が1つのフォーカスでまとめて読み上げられてしまうという点が挙げられます。
iPhone/iPad用のターミナルエミュレータでは出力内容を1行ずつ確認することができるため「最新の結果のみを閲覧する」といった使い方ができるのですが、Termuxでは十数行前からの出力結果を一から遡って確認していく必要があり、目的の出力内容にたどり着くまでに多くの時間を要するという短所があるんです。
スクリーンリーダー環境に限ったことではないのですが、このように出力内容が増えてわかりづらくなってしまった場合に使えるコマンドに「clear」というものがあります。
このコマンドを入力するとそれまでの出力結果をクリアすることができるため、やや面倒ではありますが、処理の度にclearを挟むことで最新の結果だけを表示させておくことが可能です。
おまけ: おすすめの用途
ここからはおまけ、最近LUCAがハマっている、Termuxの便利な用途についてご紹介します。
実はCUIベースのTermuxではありますが、下記の手順通りに操作することで、YouTubeで動画を検索⇒検索結果の動画をMP4形式でダウンロード⇒任意のアプリへ共有という一連の作業を容易に行うことができるんです。
こちらも基礎知識が要求されてしまう内容かとは思いますが、よければ使ってみてください。
- 1. 必要なパッケージのインストール
- (1) 下記のコマンドを順番に実行し、必要なパッケージをインストールする
- ・pkg install pip
- ・pkg install ddgr
- ・pkg install ffmpeg
- ・pip install yt-dlp
- 2. ファイル管理アプリから開きやすい、内蔵メモリの「Documents」フォルダにアクセスできるようにする
- (1) コマンド「termux-setup-storage」を実行する
- (2) コマンド「vim ~/.bashrc」で設定ファイルを開き、以後Documentsフォルダにアクセスしやすいよう、またインストールしたYT-DLPが呼び出せるよう下記の設定を書き加える
export docs=/storage/emulated/0/Documents [ ! -d "$HOME/storage" ] && termux-setup-storage export PATH="$HOME/.local/bin:$PATH" - (3) 保存後、コマンド「source ~/.bashrc」で設定ファイルを即時適用する
- 3. コマンド「cd $docs」で先ほど設定したDocumentsフォルダへ移動する
- 4. ダウンロードしたい動画を検索する
- (1) コマンド「ddgr site:youtube.com 検索ワード」にてDuckDuckGoから動画を検索する
- (2) コマンド「x」でURL全体表示に切り替える
- (3) 行単位で出力エリア内を確認し、ダウンロードしたい動画のURLをコピーする
- 5. コマンド「yt-dlp -f ダウンロードフォーマット(mp4/m4aなど) ダウンロードしたい動画のURL」を実行しダウンロードを開始する
- ※yt-dlpというコマンドが見当たらないといった旨のエラーが出力されてしまう場合にはパスが正しく通っていない可能性があるため、一度コマンド「which yt-dlp」にてYT-DLPのインストール先を確認し、手順2(2)のパス追加先を適宜修正・再登録します。
- 6. ファイル管理アプリでDocumentsフォルダを開き、動画が正しくダウンロードされているか確認する
手順は以上です。
YT-DLPは少々不安定なパッケージなので、上手くいかないという方は以前にご紹介したa-Shell用ショートカットのページからYT-DLPのスクリプトを直接ダウンロードして、任意の場所に設置してお使いください。
※なお、YouTubeからの動画ダウンロードは利用規約違反であり、更に取得した動画を無料・有料に問わず第三者へ提供することは法律上禁じられています。自己責任でご利用いただき、更に無断で配布・転載しないようご注意ください。
まとめ
さて、今回はAndroid用のターミナルエミュレータ「Termux」の使い方とスクリーンリーダー環境向けの設定方法についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
我ながら今回の記事はだいぶ難易度高め且つマニアックな内容になってしまったかと思いますが、ご興味のある方はぜひ挑戦してみてください。