押してみよう❣ ~すぐに使えるツボ紹介~


今回の記事ではあはき師として、普段使いできる便利な経穴(ツボ)をいくつか、主治症(効き目)とともにご紹介します。ご紹介するツボは全てご自分で使えるものなので、休憩・入浴中などにぜひ押してみてください✪

⚠ご紹介している経穴の位置・主治症等は全て本記事執筆(2019年6月15日)時点に調べたものであり、その後のWHO等の定義の更新には対応していません。またこれらの経穴は症状・疾患の軽減・完治を保証するものではありません。


目次 >>


1. 四総穴(しそうけつ)

初めにご紹介するのは、最も代表的で効果的な4つのツボ、四総穴(しそうけつ)です。四総穴とは身体を四分割した時、それぞれの部分に最も効くツボ4つのことで、足三里(あしさんり)、委中(いちゅう)、列缺(れっけつ)、合谷(ごうこく)の4穴(けつ)があります。

(1) 足三里(あしさんり)

足三里(あしさんり)とは足の陽明胃経(ようめいいけい)と呼ばれる経脈に属する経穴の1つで、膝の下、膝蓋骨(膝頭)の先の少し外下に位置しています。簡単な取り方としては、親指と他の4本指でL字形を作り、その親指側を膝頭に引っ掛けた時に中指の先端が当たるところになります。

細かい原理については省きますが、この足三里というツボは足の疲れや浮腫み、胃疾患などに効くと言われており、四総穴の中でもお腹に効くツボとされています。その他、男性に非常によく効くツボとも言われています。

押す時には両手の親指もしくは人差し指の先を合わせ、強めに抑えると効果的です。慣れていない方には少し痛く感じるかもしれませんが、このツボの下には歩行に欠かせない、大きくて強い筋肉が走っています。強めに揉んだ方が血流改善に繋がり、効果が表れやすいですよ。

(2) 委中(いちゅう)

2つ目の四総穴は、足の太陽膀胱経(たいようぼうこうけい)に属する、委中(いちゅう)と呼ばれるツボです。このツボは膝の裏のちょうど中央辺りで凹んだ部分に位置しています。

委中は膝の疲れには勿論のこと、腰の疲れや痛みによく効き、四総穴の中でも背腰(はいよう)、つまり腰痛に最も効果的なツボとされています。

押す時には椅子に座った姿勢や体育座りで膝裏に両手を入れ、両手の親指で押し上げるようにすると効果的です。膝裏に痛い点がある場合は、そこを目指して押すと良いですよ。

(3) 列缺(れっけつ)

列缺(れっけつ)とは、これまでの2穴とは異なり、腕にあるツボで、手の太陰肺経(たいいんはいけい)に属しています。少し覚えにくいかもしれませんが、掌で親指の付け根にある手首のしわから肘側に指2本分上がったところにあります。

列缺は四総穴の中でも頭に効くと言われており、手の痺れに加え頭痛、鼻炎、気管支炎、関、喉の痛み、歯痛、顔の浮腫みなど、「頭」に関係する様々な症状に効果的だとされています。

押す時には動脈の拍動部(脈拍を取る部分)を目安にして、手首を掴むようにすると見つけやすいです。使いやすいツボなので覚えておくと便利ですよ。

(4) 合谷(ごうこく)

合谷(ごうこく)は手の陽明大腸経(ようめいだいちょうけい)に属する経穴の1つで、その効果の広さと使いやすさから「万能穴」(ばんのうけつ)などとも呼ばれています。場所は手の甲で親指と人差し指の付け根の骨の分かれ目で、押す時には第二中手骨(人差し指の付け根から延びる骨)の中央辺りの親指側に当たります(以下のイラストに示しています)。)

このツボには幅広い主治症があり、肩凝り、便秘・下痢、風邪、目眩、無気力、不眠などに加え、頭痛、目の疲れ、花粉症、難聴、アトピー、歯痛、ニキビなど顔周りの症状によく効くことから、四総穴の中でも面、つまり顔のツボと言われていました。

合谷は第二中手骨の橈側(親指側)の真ん中にあるとされていますが、人によって細かな場所は違うとも言われています。押す時にはこの周辺で、押した時に響き(鈍い痛み)を感じるところを押すのが一番効きます。押しやすく効きやすいツボなので、疲れを感じた時などにはぜひ使ってみてください。

合谷穴が示された手のイラスト

2. 不眠に効くツボ

怠いのに眠れない、気が立って眠れないなど、「眠れない」悩みを抱えている方は多いようです。この項では不眠によく効く、代表的なツボを2つご紹介します。

(1) 失眠(しつみん)

不眠症の特効穴(とっこうけつ)として最も有名なのが、足裏にある、失眠(しつみん)穴です。中国の古典に記載されている正経(せいけい)には含まれていませんが、効果的なツボとしてよく使われています。

失眠は足裏の、踵(かかと)のすぐ前側に位置しています。踵の出っ張りの中央をつま先側になぞった時、傾斜がなくなった辺りの窪みが押すポイントになります。

足裏のツボは皮下組織や筋肉が分厚く固いため、少し強めに押す必要があります。押したい側の足を反対の膝の上に乗せ、両手の親指もしくは片手の肘で、しっかりと圧迫しましょう。眠れない夜など、押した時に響き(痛み)を感じれば効き目があるということです。ぜひ一度使ってみてください。

(2) 労宮(ろうきゅう)

続いてご紹介する不眠症のツボは、手の厥陰心包経(けついんしんぽうけい)に属する、労宮(ろうきゅう)です。このツボの名の由来は「苦労の集まる中心」という意味と言われており、疲労が溜まると様々な神経・血管が集まる、掌の真ん中に位置するこの場所に痛みが出るとされています。

労宮を押すと血流・神経伝達が良好になり、結果的に精神の安定が得られると考えられています。そのため、主治症には緊張緩和、イライラやストレスの軽減、ほてり、不眠などが含まれています。

このツボは手を軽く握った時の、中指と薬指の指先の間にあります。周りに親しい人がいれば押してもらうのが最も効果的ですが、一人の時には親指やゴルフボールなどを使って圧迫するのが良いでしょう。試験や会議などの緊張する状況でもすぐに押せるツボなので、機会があれば使ってみると良いかもしれません。


3. 女性の悩みに効くツボ

最後は冷え性や浮腫み、婦人科系疾患など、女性の悩みに効くツボを3つご紹介します。因みに男性によく効くツボとしては、前項でご説明した足三里が代表的です。

(1) 三陰交(さんいんこう)

三陰交(さんいんこう)は足の太陰脾経(たいいんひけい)に属するツボで、「婦人科系の万能穴」とも呼ばれています。名前の由来は「肝・腎・脾の3つの陰経が交わる点」という意味で、これら3つの足の陰経が泌尿器・循環器・生殖器の働きに深くかかわっていることから、「婦人科系によく効くツボ」と言われています。

三陰交の主治症には泌尿器系として夜尿症や膀胱炎・腎炎・尿道円、循環器系として冷え性や浮腫み、そして生殖器系では月経不順・月経困難症、更年期障害などがあります。勿論女性限定ということではなく、冷えや浮腫み、頻尿など男性の症状にも効果を示します。

このツボは内踝(うちくるぶし・ないか)の指4本分上で、脛の骨の際にあります。押す時には手で足を掴むようにして、親指で押し込むようにすると効果的です。症状のある方は周辺で痛みを感じる点があると思いますので、そこを目指して押しましょう。

(2) 血海(けっかい)

血海(けっかい)とは三陰交と同じ太陰脾経に属するツボで、文字通り」全身の血液が海のように集まるところ」という意味で血流改善に有効なツボとされています。

このツボは血流改善に関わっている他、女性ホルモンの分泌を促進するとも言われています。そのため、主治症には血流改善の他に生理痛、肌荒れなどがあり、バストアップにも効果的だと考えられています。

場所は膝のお皿の内側から指3本分上で、三陰交と同様に症状がある時には痛みを感じる点が現れやすいです。片手、もしくは両手の親指でゆっくりと圧迫すると効果的ですよ。

(3) 湧泉(ゆうせん)

最後にご紹介するのは、一時期「命の泉が湧くツボ」として有名になったことのある、足の少陰腎経(しょういんじんけい)のツボです。ここは気の出入り口として重要な点で、下半身の疲れ、浮腫みなどに広く効きます。

主治症は主に下半身・足にに関わる疲労・浮腫み・冷えなどで、特に足先が冷える方にはお勧めのツボです。

湧泉は足の裏で、指を曲げた時に親指と人差し指の間に現れる「人」の字の頂点の窪みにあります。押す時には両手の親指で、痛みを感じない程度に圧迫するのが良いとされています。リラクゼーション効果が高いツボなので、歩き疲れた日などにも便利ですよ。

まとめ

ということで、今回のページでは初めて医学的な情報をご紹介しました。「手軽に使えて効果的なツボ」で思いついたものを9種類、その押し方と効果について書いてみました。

僕の表現力が足りずわかりにくいところもあるかと思いますが、参考にして頂ければ幸いです★

※正経十四経(せいけいじゅうよんけい)の経穴(けいけつ)一覧表をこちらにアップしています。今回ご紹介していないツボの見つけ方なども書いていますので、こちらもぜひ見てみてください。


*本ページの記載内容に誤りがあれば、メール、TwitterのDMなどでお知らせください。


メールお問い合わせ
Twitter: @naokiluca
↑ホームに戻る